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ヒロムネカワゲラ科 Peltoperlidae
 

​扁平な体型が特徴的な小型のカワゲラです。図鑑的には、

 ​ ①中胸・後胸の側面(各脚の基部)に糸状のえらがない

  ②下唇の中舌と側舌がほぼ同大

  ③体は扁平で触覚とテールは短く、ステージ後半の幼虫は左右の翅芽が基部で互いに接する

以上の3点によって同定されますが、寸詰まりの特徴的な体型から識別は比較的容易です。脚は短く、全体的にコロっとしていて着ぐるみのような可愛らしさがあります。​


下位分類(国産既知種のリスト)


  ヒメノギカワゲラ属 Microperla
    ・ヒメノギカワゲラ Microperla brevicauda Kawai, 1958
  ノギカワゲラ属 Cryptoperla
    ・ノギカワゲラ Cryptoperla japonica (Okamoto, 1912)
    ・クロノギカワゲラ Cryptoperla kawasawai Maruyama, 2002
    ・イシガキノギカワゲラ Cryptoperla ishigakiensis (Kawai, 1968) 
  ミヤマノギカワゲラ属 Yoraperla
    ・ミヤマノギカワゲラ Yoraperla uenoi (Kohno, 1946)
  (日本産水生昆虫 第二版(川合・谷田 編,2018);川虫図鑑 成虫編(丸山・花田 編,2016)に基づく)

​以上、3属5種が知られているほか、ノギカワゲラ属・ミヤマノギカワゲラ属にはそれぞれ未記載種の存在が確認されています。

 


フォトギャラリー

齢不詳/雌雄不明

2020.01.02 宮城県

【 ノギカワゲラ 】

生息環境:源流(飛沫帯)・山地渓流(飛沫帯)記録済みの地域:宮城・新潟 幼虫の特徴:(下の解説を参照) 季節性・化性:春~夏に羽化/1年1化

齢不詳/雌雄不明

2024.01.26 東京都

【 ミヤマノギカワゲラ 】

生息環境:源流(飛沫帯)・山地渓流(飛沫帯)記録済みの地域:東京 幼虫の特徴:(下の解説を参照) 季節性・化性:春~夏に羽化/1年1化

​横アングル(ノギカワゲラ)

​丸っこいフォルムとぱっちりした複眼は愛嬌にあふれています。

管理人の最推しカワゲラのひとつです。

観察メモ
 ・ずんぐりした体型の幼虫で、積極的に機敏に動くことはありません。
 ・既知の種は幼虫時点でも種レベルの同定がある程度可能ですが、未記載種がいることや既知の種の系統地理学的な整理が不十分なことを加味すると、種の断定を避ける
  べき場合もあります。
​ ・ノギカワゲラ属は体にまだら模様があり、体色の明暗に個体差があります。一般には上の画像のノギカワゲラのような模様のものが多いようですが、前胸や中胸が白黒
  に染め分けられるパンダ柄の幼虫も見つかっているようです(未記載種の可能性もあり)。
​ ・エタノールやホルマリンで固定すると丸まった姿勢で硬化してしまいます。また、時間が経つと色素が抜けて体全体が白くなってしまうため、特に体斑をもつ個体は生
  時ないし固定直後に観察するのを推奨します。

 

​画像・表:国産ヒロムネカワゲラ科3属の属の識別

  ノギカワゲラ属                         ミヤマノギカワゲラ属

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生息環境
ノギカワゲラ属・ミヤマノギカワゲラ属が生息する小さな滝状の飛沫帯です。こういった環境は他にもオビカゲロウやイワヒラタカゲロウ、ミジカオフタバコカゲロウの一種・クロオナシカワゲラなどが利用しますが、場所の標高や沢の水量、岩盤面の状態などの細かい要素によって生息する川虫の組み合わせが異なります。

​生息環境例(宮城県/5月)


成虫【準備中…】

 
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