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【シロイロカゲロウ科 Polymitarcyidae】
 

大型のカゲロウで、細長い体型です。幼虫の形態はモンカゲロウ科によく似ており、川や底質を掘って穴の中で生活します。体全体に細い毛が密生しており、光の届かない河床で感覚器官として役立っていると思われます。

  ①ツノ状に発達した大顎が頭部前方に突出する

  ②先端が羽毛状に細かく分岐したえらが腹部上面にある

  ③腹部のえらは基部付近で2本に分岐している

以上の3点で他科から区別されますが、③はモンカゲロウ科と識別する際にのみ観察する必要があります。

幼虫が生息する地域やステージ後半の幼虫が集積する時期は非常に限られているため、環境や時期も考慮すれば容易に同定できます。


下位分類(国産既知種のリスト)


  シロイロカゲロウ属 Ephoron
    ・オオシロカゲロウ Ephoron shigae (Takahashi, 1924)
    ・ビワコシロカゲロウ Ephoron limnobium Ishiwata, 1996
    ・アカツキシロカゲロウ Ephoron eophilum Ishiwata, 1996
  (日本産水生昆虫 第二版
(川合・谷田 編,2018)に基づく)

​以上1属3種が知られています。ただし近年の遺伝子解析の結果、2023年現在、ビワコシロカゲロウはオオシロカゲロウの個体群のひとつにすぎないという見方が有力です。

 


フォトギャラリー

​​​終齢/♀

2023.09.12 宮城県

​​​同個体(頭部)

​​​同個体(横)

―――――――――――――――――――【 オオシロカゲロウ 】―――――――――――――――――――

生息環境:平地渓流・平地流 記録済みの地域:岩手・宮城・福島 幼虫の特徴:モンカゲロウ科よりもさらに発達した大きなツノ状の大顎が伸びる。周縁部が羽毛状に分岐したえらが腹部側面上方に並ぶ。アカツキシロカゲロウとは頭部前縁の突出部の形で見分けられる。 季節性・化性:晩夏の1~数日の間に集中的に羽化/1年1化


観察メモ
 ・​幼虫の外部形態の雌雄差は顕著ではありませんが、ステージ後期の幼虫では♀が♂よりもわずかに大柄です。なお、地域によっては♀のみの単為生殖個体群が分布して
  います。
 ・自然下では生涯のほとんどを河床の下で過ごすため積極的に泳ぐことはありませんが、自由水中では体全体を上下にくねらせて直線的に泳ぎます。ただし、自然下では
  羽化直前にしかまともに遊泳する機会がないためか、持久性が極端にありません。河床から掘り起こしてしまうと、大抵の個体がすぐに弱っていきます。
​ ・成虫はきわめて短命かつ
飛翔だけに極端に特化した進化を遂げているため、幼虫にもその片鱗が現れています。胴体の表皮は薄くてややもろく、脚は可動域が限られる
  ため他の川虫のように河床をスムーズに歩行することはできません。
​ ・エタノールやホルマリンで固定すると丸まった姿勢で硬化してしまいます。色の変化(退色)は顕著ではありません。
 ・地域によっては大きな川の深い場所にしかいないため採集・観察はハードルが高く、危険が伴います。普通の釣りや川遊びの装備しか持っていない状態で深場の幼虫を
  探すのは安全上の理由からおすすめしません。

 


​成虫【準備中…】​
 

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