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【カゲロウ目 Ephemeroptera】

 

 カゲロウは日本国内から13科160種ほどが知られています(※)。全種、幼虫は水生。河川の源流部から河口近く、池・沼まで広範な水辺に様々な種が生息します。
 幼虫の餌は主に河床の付着藻類や分解過程の落葉・その他の微小な有機物などで、世界中の陸水、とりわけ河川の生態系において主要な一次消費者となっています(ごく一部の肉食種を除く)。また種によって生息環境の底質に強い嗜好性をもつことから、環境指標生物として河川の水質判定・環境判定に用いられることも少なくありません。
 成虫は4枚ないし2枚の翅をもっており、翅を有する昆虫としては最も原始的なグループです。幼虫と成虫の間には蛹とは異なる「亜成虫」という段階があり、これは現生の昆虫の中では唯一の特徴です。亜成虫・成虫は口が退化しており、羽化後は飲まず食わずで過ごします。成虫には(ごく一部を除いて)未熟期はなく、羽化後に体表が十分に硬化するとすぐさま交尾を行うことができます。成虫の寿命はほとんどが2,3日~数日程度ですが、中には飲まず食わずで最長一ヶ月以上生きる種もいます。
 日本では儚い命の代表格として古くからその名が親しまれている一方、名前だけが独り歩きしているふしがあり、生物としての詳細な実態にはほとんど関心を寄せられることがありません。地味で小型な種が多いゆえか、他の昆虫に比べても基礎的な研究が進んでいない仲間でもあります。また、「ウスバカゲロウ」や「クサカゲロウ」など、和名にカゲロウの名を持ちますが分類学的にはカゲロウではない昆虫もおり(ほとんどはアミメカゲロウ目 Neuroptera に所属)、非専門家の間ではよく混同されます。

※ヒトリガカゲロウは1980年代以降の記録がなく、国内から絶滅した可能性があります。2025年現在、日本国内に確実に分布しているカゲロウはヒトリガカゲロウ科を除いた12科だと思われます。

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