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【ヒメシロカゲロウ科 Caenidae】
 

小型のカゲロウで、やや扁平な縦長の体型です。図鑑的には、

  ①頭部前方に突出した大顎がない

  ②前脚の内側に長い剛毛が密生しない

  ③複眼が頭部の側面についている

  ④左右のテールを拡大すると、両側面に短毛が生えている

  ⑤腹部各節から生えるえらは途中で2本以上に分岐しない

  ⑥腹部第1節のえらは痕跡的(棒状)で、第2節のえらは大きく、第三節以降のえらを広く覆う

の6点を順に確認することで同定されますが、体型やえらの特徴から、慣れれば野外でも科レベルまではすぐに判別することができます。腹部のえらは筋肉を使って小刻みに動かすことができ、溶存酸素の少ない水中でも生存できます。


下位分類(国産既知種のリスト)


  ミツトゲヒメシロカゲロウ属 Sparbarus
    ・ミツトゲヒメシロカゲロウ Sparbarus japonicus (Gose, 1980)
  ホソアシヒメシロカゲロウ Cercobrachys
    ・ホソアシヒメシロカゲロウ Cercobrachys minutus (Tshernova, 1952)
  ヒメシロカゲロウ属 Caenis
    ・ヒメシロカゲロウ Caenis horaria (Linnaeus, 1758)
    ・ビワコヒメシロカゲロウ Caenis nishinoae Malzacher, 1996
    ・(和名未定)Caenis rivulorum Eaton, 1884
    ・Caenis sp. CA (既知の未記載種)
    ・Caenis sp. CB (既知の未記載種)
  (日本産水生昆虫 第二版(川合・谷田 
,2018);石綿・司村, 2020;Takayanagi & Yoshizawa, 2021 に基づく)

​以上、未記載種を含めた3属7種が知られています。しかしヒメシロカゲロウ属は外部形態を用いた種レベルの同定手法が確立されておらず、既知の未記載種のほかにも未知の未記載種が存在している可能性があります。

 


フォトギャラリー

​​​終齢/♀

2024.05.27 宮城県

​​​終齢/♀

2021.07.12 宮城県

​​​終齢/♀

2024.05.30 宮城県

――――――――――【 ヒメシロカゲロウ属の一種(おそらくすべて同種) 】――――――――――

生息環境:平地渓流・平地流 記録済みの地域:宮城・福島 幼虫の特徴:小型で扁平な体つき、腹部第2節の大きなえら。 季節性・化性:詳細不明(福島県では8月中旬に川沿いのコンビニに100頭ほどの小群が飛来しているのを観察したことがある)/1年1化

ヒメシロカゲロウ属の一種(​上画像2枚の個体)


観察メモ
 ・​幼虫の外部形態の雌雄差は顕著ではありません。シロイロカゲロウ科と同様、種・地域によっては♀のみの単為生
  殖個体群が分布しています。
​ ・腹部第2節の左右にある長方形のえらは背面で互いに接しており、静水中で観察すると小刻みに動かして水流を起
  こし、呼吸を補助しているのが分かります。
 ・自然下では生涯のほとんどを落葉や礫の裏側などに隠れて過ごすため積極的に泳ぐことはありまん。刺激を加える
  と体全体を上下にくねらせて泳ぎますが、遊泳はあまり上手くありません。

​ ・エタノールやホルマリンで固定するとやや丸まった姿勢で硬化することが多く、腹部のえらが逆立ってしまって生
  時とは異なる体型に見えることがあります。触角・テールはきわめて折れやすくなる点も注意です。色の変化(退
  色)は顕著ではありません。

 


​成虫【準備中…】

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