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An Artless Riverside 川虫館
文献紹介・リンク集
本HPを制作するにあたり参考にした主要な図鑑やウェブサイト、おすすめの生態学に関する書籍等を紹介します。
なお特定の科・属・種に関連した文献等は科別の紹介ページに適宜リンクを貼っているので、そちらを参照ください。
【文献】
◆日本産水生昆虫 科・属・種への検索 第二版(川合禎次・谷田一三 編, 2018. 東海大学出版会.)
国内で記録されているあらゆる水生昆虫(幼虫・成虫いずれかのステージが水生であるもの)を一冊
で扱っている、水辺の生き物を本格的に研究する上では必携の書。同定形質が確立しているものに関
しては種レベルないし属レベルまでの検索表と図が充実。生態学的な事項は目レベルで概説が載って
いるが、生態学よりも分類学に特化した書籍。2005年に第一版が出ているが、その後に記載された種
々や分類が整理されたグループについてアップデートが行われ、2018年に第二版が出版されている。
◆川虫図鑑 幼虫編/成虫編(幼虫編:谷田一三 監修、丸山博紀・高井幹夫 著., 2016. 全国農村教育協会.
/成虫編 丸山博紀・花田聡子 著, 2016 全国農村教育協会.)
いわゆる「川虫」の主要3目であるカゲロウ・カワゲラ・トビケラに関する図鑑。幼虫編はカラー写真
と解説がおよそ交互に見られるよう構成されており、成虫編は巻頭に付録的にカラー写真の一覧があり、
中盤以降は解説となっている。解説パートは国内でよくみられるもの・分布が広いものに焦点が当てら
れているため網羅性には欠けるが、入門~中級者には最適。幼虫編では科レベルの検索フローチャートが分かりやすい図解付きで載っており便利。成虫編は巻末付録の
国内種のリストが2016年時点での既知種を網羅していて、本HPの作成に際して大いに参考にさせてもらった。幼虫編と成虫編で出版年が異なるため、その間に行われ
た分類の変更や新種記載状況の兼ね合いで一部記述内容に食い違いがある点は注意。
◆カゲロウのすべて(御勢久右衛門 監修、岡崎博文 著., 1997. トンボ出版)
『〇〇のすべて』シリーズのカゲロウバージョン。日本の川虫分類学黎明期のカゲロウの大家、御勢さんによる監修。カゲロウの儚い基本的なライフサイクルが貴重な
写真でいきいきと紹介されている。入門者向けだが、そもそもカゲロウ自体が生物の中でマイナーであるため「カゲロウは知らないけど生き物には詳しい」という人に
とっても学びとなる内容が随所に散りばめられている。出版から30年近く経っており、分類や種名に変更が加えられている点が多々あることだけは注意。
◆水生昆虫ファイル(1)~(3)(刈田敏 著, 2001(1);2003(2);2005(3))
カゲロウ・カワゲラ・トビケラを扱ったハンドブック。著者の刈田さんは渓流釣りから川虫に入った川虫愛好家の方で、アングラーならではの視点で書かれた各種の発
生消長や生息環境に関する情報はフィールドで役に立つ。やはり出版から20年前後経っており、分類や種名に変更が加えられている点が多々あることは注意。
◆身近な水生生物観察ガイド(刈田敏三 著, 2011. 文一総合出版)
川虫の代表的な種類の幼虫・成虫の図鑑として読めるほか、川虫さがしや渓流釣りなどフィールドワークの指南・水生生物を用いた水質評価手法の概要なども載ってお
り、野外で実際に生き物を探して観察を行い、観察結果を活用するまでの一連の流れを網羅的に紹介している。川虫の個別紹介ページには原寸大サイズが載っていて親
切。
◆ネイチャーガイド 日本の水生昆虫(中島淳・林成多・石田和男 編, 2020. 文一総合出版.)
水生昆虫のうち、ゲンゴロウをはじめとする甲虫やタガメやアメンボに代表される半翅目を扱った図鑑。大型でメジャーな種はもちろん、近年一気に国内種の全容が明
るくなってきたり分類が整理されてきた所謂「微小甲虫(ヒメドロムシやシジミガムシなどの顕微鏡サイズの昆虫)」まで、2020年時点までの国内の既知種がすべて載
っており圧巻。フィールドにそこそこ気軽に持っていけるサイズ感と昆虫図鑑としての網羅性を両立させている点はすごいとしか言いようがない。カゲロウ・カワゲ
ラ・トビケラ・トンボ以外の昆虫を扱っているため、ちょうど本HPに載っていない水生昆虫がほぼすべて載っている構図になる。
◆観察する目が変わる 水辺の生物学入門(西田潮・伊藤浩二 著, 2016)
厳密には川虫の書籍ではないが、川虫のすみかである水辺を「物理環境と生物との相互作用で成り立つ系」として捉えたときに、そこにはどんな現象があり、どんなメ
カニズムが働いてどんな生き物がどう暮らしているのか という内容が色々と載っていて勉強になる。環境問題や保全に関する発展的な内容にも触れており、そっちに興
味がある人にもおすすめの一冊。
◆流されて生きる生き物たちの生存戦略 驚きの渓流生態系(吉村真由美 著, 2022. 築地書館)
水辺の中でも特に水が勢いよく流れる渓流域に焦点を当てた生態学の本。渓流という環境のそもそもの特性の話から始まり、そこを利用する生き物が流水環境にどう適
応して進化してきたのか、生物と渓流との相互作用にはどんなものがあるのか等、川虫屋にとって重要な情報がピンポイントでたくさん載っている。
◆湿原 成長する大地(辻井達一 著, 1987. 中公新書.)
釧路湿原やサロベツ湿原に代表される寒冷地の広大な高層湿原(ミズゴケ湿原)の例をメインに、いわゆる湿地といわれる環境の地質学的な成り立ちや生態学的な特
性、土地利用・開発に関する人類史まで、湿原に関することが学べる。寒冷地の湿原は時間的にも空間的にもスケールの大きな話なので、読み進めていると宇宙の話を
見聞きしている時の感覚に近しいロマンを感じる。著者は植物学に明るく、虫好きの身からすると新鮮な内容も多かった。
◆竹門, 2005. 底生動物の生活型と摂食機能群による河川生態系評価. 日本生態学会誌. 55 (1). 189-197pp.
◆石綿・竹門, 2005. 日本産カゲロウ類の和名 チェックリストおよび学名についてのノート. 陸水学会誌. 66 (1). 11-35pp.
◆【環境省】水生生物による水質評価マニュアル
【ウェブサイト・ホームページ】
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