【カワリナガレトビケラ科 Hydrobiosidae】

染み出し・飛沫帯　　細流　　源流　　山地渓流　　平地渓流　　平地流

湿地・水田　　湖沼　　その他特殊環境

ツメナガナガレトビケラは全国各地の山地渓流環境で普通にみられる種です。ステージ後半の幼虫は瀬の大礫の裏に小さい礫をつなぎ合わせた不定形の固着巣を作り、その中に隠れつつ巣の周辺を徘徊して獲物を探します（小さな幼虫の生活スタイルは不明）。人里から離れた山奥の渓流域よりもむしろ、低山や丘陵地の二次林の中を流れるような小規模な沢でよくみられる印象です。

シュレッダー（破砕食者）　グレイザー（刈取食者）　コレクター（収集食者）　プレデター（捕食者）

幼虫は肉食で小型の水生ミミズ類やブユ・ユスリカの幼虫等の小さな動物を食べていると推測されています。ただし幼虫は敏捷な動きができず、捕食に特化した脚や特殊な形態の大顎などは持たないため、自分よりも俊敏なカゲロウ・カワゲラや硬い外骨格を持つヤゴ・ヒラタドロムシなどは襲うことができません。

河川の二次消費者として機能しています。国内に広くみられる種はツメナガナガレトビケラただ1種であり、環境嗜好もよく判明しているため人為的撹乱の加えられていない環境の指標となります。ただし幼虫は水量の乏しい細流から開空度の高い山地渓流まで比較的広い渓流環境でみられるため、典型的な生息環境というものは見えづらいです。

道路建設やメガソーラーなどによる大規模な山林の伐採・土壌の流出は生息地の河床環境を悪化させることがあります。

・環境省『水生生物による水質評価マニュアル』スコア区分：9

青緑の体色が特徴的な中型のトビケラです。幼虫の外観はナガレトビケラ科の一部種群に似ていますが、前脚の跗節が湾曲した針状に細長く伸びていることで他科と区別されます（肉眼での観察は難しい）。ただし透明感のある青緑の体は国内の他のトビケラにはない特徴であり、野外でもすぐにそれと分かります。日本本土からはツメナガナガレトビケラの一種のみが知られますが、奄美大島から未記載と思われる類似種も見つかっているようです。