top of page


【ヒラタカゲロウ科 Heptageniidae(2)】
 


下位分類(国産既知種のリスト)


 タニガワカゲロウ亜科 Ecdyonurinae:【ヒラタカゲロウ科 Setisura(1)】で紹介
  タニガワカゲロウ属 Ecdyonurus
    ・オニヒメタニガワカゲロウ Ecdyonurus bajkovae Kluge,1986
    ・フタオビタニガワカゲロウ Ecdyonurus bifasciatus Navas,1933
    ・キイロタニガワカゲロウ Ecdyonurus flavus Takahashi,1929
    ・ミナミタニガワカゲロウ Ecdyonurus hyalinus (Ulmer,1912)
    ・キブネタニガワカゲロウ Ecdyonurus kibunensis lmanishi,1936
    ・アシグロヒメタニガワカゲロウ Ecdyonurus naraensis Gose,1968
    ・ヒメタニガワカゲロウ Ecdyonurus scalaris Kluge,1983
    ・トラタニガワカゲロウ Ecdyonurus tigris lmanishi,1936
    ・ミドリタニガワカゲロウ Ecdyonurus viridis (Matsumura,1931)
    ・シロタニガワカゲロウ Ecdyonurus goshidae Takahashi,1924
    ・ミナミマダラタニガワカゲロウ Ecdyonurus fracta (Kang & Yang, 1994)
  クロタニガワカゲロウ属 Thamnodontus
    ・クロタニガワカゲロウ Thamnodontus tobiironis (Takahashi,1929)

 キハダヒラタカゲロウ亜科 Heptageniinae
:【ヒラタカゲロウ科 Setisura(1)】で紹介
  キハダヒラタカゲロウ属 Heptagenia
    ・サトキハダヒラタカゲロウ Heptagenia flava Rostock, 1878
    ・キョウトキハダヒラタカゲロウ Heptagenia kyotoensis Gose, 1963
    ・ムナグロキハダヒラタカゲロウ Heptagenia pectoralis Matsumura, 1931
  ウズキキハダヒラタカゲロウ属 Kageronia
    ・キハダヒラタカゲロウ Kageronia kihada  (Matsumura, 1931)


 ヒラタカゲロウ亜科 Rhithrogeninae
  オビカゲロウ属 Bleptus

    ・オビカゲロウ Bleptus fasciatus Eaton,1885
    ・オビナシオビカゲロウ Bleptus michinokuensis Tojo, 2021
  ミヤマタニガワカゲロウ属 Cinygmula
    ・チャイロミヤマタニガワカゲロウ Cinygmula adusta (lmanishi, 1935)
    ・エゾミヤマタニガワカゲロウ Cinygmula cava (Ulmer,1927)
    ・セスジミヤマタニガワカゲロウ Cinygmula dorsalis (lmanishi,1935)
    ・ミヤマタニガワカゲロウ Cinygmula hirasana (lmanishi,1935)
    ・クロミヤマタニガワカゲロウ Cinygmula putoranica Kluge,1980
    ・ヤヨイミヤマタニガワカゲロウ Cinygmula sapporensis (Matsumura, 1904)
    ・ハルノミヤマタニガワカゲロウ Cinygmula vernalis (lmanishi,9935)
  ヒラタカゲロウ属 Epeorus
    ・キイロヒラタカゲロウ Epeorus aesculus lmanishi, 1934
    ・イワヒラタカゲロウ Epeorus cumulus lmanishi, 1939
    ・ウエノヒラタカゲロウ Epeorus curvafulus Matsumura, 1931
    ・ミナミヒラタカゲロウ Epeorus erratus Braasch, 1981
    ・オナガヒラタカゲロウ Epeorus hiemalis lmanishi, 1934
    ・ナミヒラタカゲロウ Epeorus ikanonis Takahashi,1924
    ・エルモンヒラタカゲロウ Epeorus latifolium Ueno,1928
    ・マツムラヒラタカゲロウ Epeorus l-nigrus Matsumura,1931
    ・タニヒラタカゲロウ Epeorus napaeus lmanishi, 1934
    ・ユミモンヒラタカゲロウ Epeorus nipponicus (Ueno,1931)
    ・キタヒラタカゲロウ Epeorus uenoi (Matsumura,1933)
  ヒメヒラタカゲロウ属 Rhithrogena
    ・ヒメヒラタカゲロウ Rhithrogena japonica Ueno,1928
    ・ミナヅキヒメヒラタカゲロウ Rhithrogena minazuki lmanishi,1936
    ・タイワンヒメヒラタカゲロウ Rhithrogena parva (Ulmer,1912)
    ・タテヤマヒメヒラタカゲロウ Rhithrogena tateyamana Imanishi, 1936

    ・サツキヒメヒラタカゲロウ Rhithrogena tetrapunctigera Matsumura, 1931
  (川虫図鑑 成虫編(丸山・花田 編,2016);Tojo, 2021 に基づく)

​以上、7属41種が知られています(フタオビタニガワカゲロウ(タニガワカゲロウ属)は近年の記録はなく詳細不明)。ほかにもミヤマタニガワカゲロウ属とウズキキハダヒラタカゲロウ属には未記載種と思われるものが確認されています。成虫のみで記載されている種や幼虫と成虫との紐付けがされていない種もいます。

(種数が多く、1ページにまとめると1ページあたりの容量上限を超えてしまうため、本HPでは便宜上、タニガワカゲロウ亜科Ecdyonurinae / キハダヒラタカゲロウ亜科 Heptageniinaeとヒラタカゲロウ亜科 Rhithrogeninaeとでそれぞれ別のページを設けています。)

 


フォトギャラリー

 

ヒラタカゲロウ亜科 Rhithrogeninae -【オビカゲロウ属】

終齢の2つ前/♂

2023.04.29 岩手県

終齢の2つ前/♀

2020.03.31 宮城県

終齢の2つ前/♀

2021.03.24 宮城県

――――――――――――――――【 オビナシオビカゲロウ】――――――――――――――――

生息環境:源流(飛沫帯)・山地渓流(飛沫帯) 記録済みの地域:岩手・秋田・宮城・山形・福島(Tojo, 2021 によれば、東北各県と新潟の個体群(オビナシオビカゲロウ)はそれより西の個体群(オビカゲロウ)と遺伝的に区別されるとされ、分布の重複は2021年時点では知られていない。) 幼虫の特徴:テールは2本で脚が太短い。腹部の背棘が明瞭。体色は変化に富む。 季節性・化性:主に初夏に羽化/1~2年1化


観察メモ(オビカゲロウ属
 ・頭部前縁の横幅が科内でも特に広く、脚は太短くてがっしりとしています。​テールは2本で、体長の0.8~0.9倍ほどの長さです。
 ・本科には色彩・斑紋の多型をもつ種は少ないですが、本属は例外的に白や黄褐色、赤褐色など複数の色のタイプの幼虫がいます。
 ・腹部各節にはふさ状と葉状のえらが両方あり、葉状のえらの先端は丸いです。
​ ・酸欠や高水温にきわめて弱く、溶存酸素レベルの低い水中ではただちに弱っていき、やがて死んでしまいます。

 ・国内の本属は長くオビカゲロウ1種とされてきましたが、2021年に山形県の個体をタイプ標本としてオビナシオビカゲロウが記載されました。2種は成虫で同定が可能で
  すが、​2023年現在、外部形態のみで幼虫で見分ける手法は確立されていません(分布から推定することは可能)。


生息環境
生息環境例(宮城県/7月)                               生息環境例(岩手県/3月)
オビカゲロウが生息する環境。源流域の小さな滝のような、岩盤面の表面を水が薄い層をなして流れ落ちる場所に特異的に生息しています。幼虫は羽化までに2年を要すると考えられており、年間を通して水量の変化が少ない、地下水が豊富な大きな山塊の内部に産地が偏ります。飼育下で通常の水中に入れ他の川虫と一緒に飼育を試みたことがありますが、オビカゲロウは完全な水中にいることを嫌がり、2日ほどで死んでしまいました。
 


【ミヤマタニガワカゲロウ属】

終齢/♂

2023.02.27 宮城県

終齢/♀

2023.02.27 宮城県

終齢/♀

2023.02.27 宮城県

―――――――――――【​ ヤヨイミヤマタニガワカゲロウ(おそらく)】―――――――――――

生息環境:山地渓流・平地渓流(まれ) 記録済みの地域:宮城・山形 幼虫の特徴:属内では大型の部類で、終齢幼虫は10 mm前後。黄褐色で、腹部背面に細かい淡色斑が散る。腹部のえらは横幅が広い。冬~早春の南東北エリアの開空度の高い山地渓流や山地渓流と平地渓流との移行帯で最もよくみられる種類。 季節性・化性:早春に羽化/1年1化

亜終齢/♂(?)

2023.03.22 宮城県

【ミヤマタニガワカゲロウ属の

一種①】(詳細不明)

終齢/♂

2022.05.10 宮城県

終齢/♀(死後すぐに撮影)

2022.05.04 山形県

―――――【 ミヤマタニガワカゲロウ属の一種② 】―――――

観察した環境:山地渓流 記録済みの地域:宮城・山形 幼虫の特徴:終齢幼虫は7~8 mm程度。体表のつやが強く、腹部第8~9節が白い個体が多い。詳細不明。画像の2個体は同種あるいは近縁の別種と思われる。 季節性・化性:詳細不明

終齢/♂

2024.04.26 宮城県

亜終齢/♀

2024.04.26 宮城県

―――――【 ミヤマタニガワカゲロウ属の一種③ 】―――――

観察した環境:細流(低標高) 記録済みの地域:宮城 幼虫の特徴:終齢幼虫は5~7 mm程度の小型種。♂は腹端が白く、♀は黄色。詳細不明。 季節性・化性:詳細不明

亜終齢/♂

2023.03.11 宮城県

終齢の2つ前/♀

2021.03.10 山形県

亜終齢/♀

2023.03.27 宮城県

―――――――――――――【 ミヤマタニガワカゲロウ属の一種④ 】―――――――――――――

​(詳細不明)

終齢/♂

2024.04.28 宮城県

【ミヤマタニガワカゲロウ属の

一種⑤】(詳細不明)

観察メモ(ミヤマタニガワカゲロウ属
 ・科内の中ではややスリムな体型です。テールは3本で、体長の0.7~1.0倍ほどの
  長さです。

 ・基本的に色彩・斑紋の多型はなく褐色~黄褐色の体色ですが、特定の種は♂幼
  虫のみ頭部や腹の基部・末端に明瞭な白斑をもつものがあります。

 ・腹部各節には葉状のえらのみがあり、えらの先端は丸いです。
 ・低地まで進出しているものもいますが、基本的に水温が低く清冽な山地渓流に
  多いです。​
 ・過半数の種は酸欠に弱く、溶存酸素レベルの低い水中ではすぐに弱っていき、
  やがて死んでしまいます。
 ・​成虫のみで記載されている種や幼虫と成虫との紐付けがされていないものが多
  く、幼虫での種レベルの確実な同定は困難です。

 

終齢/♂(羽化直前)

2022.05.10 宮城県

終齢/♀

2023.04.29 岩手県

―【 ミヤマタニガワカゲロウ属の一種⑥ 】―――――

​(詳細不明)


【ヒラタカゲロウ属】

終齢/♂

2021.03.06 宮城県

終齢/♂(色彩変異)

2021.03.06 宮城県

​終齢/♀

2024.03.24 宮城県

終齢の2つ前/♀

2024.01.28 東京都

――――――――――――――――【 ナミヒラタカゲロウ 】――――――――――――――――

生息環境:山地渓流・平地渓流 記録済みの地域:秋田・岩手・宮城・山形・福島・新潟 幼虫の特徴:(下の表・画像を参照) 季節性・化性:春の前半に羽化/1年1化

【 ヒラタカゲロウ属の一種

(イワヒラタカゲロウ?)】

(詳細不明)

​​​終齢/♂(死後すぐに撮影)

2022.05.04 山形県

​​​終齢/♀(死後すぐに撮影)

2023.05.25 宮城県

​​​​亜終齢/♀

2024.04.27 宮城県

亜終齢/♂

2021.04.11 福島県

――――――――【 ウエノヒラタカゲロウ 】―――――――

生息環境:源流(まれ)・山地渓流・平地渓流 記録済みの地域:秋田・宮城・山形 幼虫の特徴:(下の表・画像を参照) 季節性・化性:春と秋に羽化するとされるが、東北はおそらく春羽化の年1化/1年1~2化(地域によって異なる)

――――――――【 キイロヒラタカゲロウ 】―――――――

生息環境:源流(飛沫帯にいることもある)・山地渓流・平地渓流(まれ) 記録済みの地域:宮城・山形・福島・新潟 幼虫の特徴:(下の表・画像を参照) 季節性・化性:春~初夏に羽化/1年1化(地域によっては2化?)

終齢/♂

2022.04.02 宮城県

​​​終齢/♀(死後すぐに撮影)

2024.02.10 宮城県

終齢の2つ前/♀

2021.04.11 宮城県

―――――――――――――――【 ユミモンヒラタカゲロウ 】―――――――――――――――

生息環境:源流・山地渓流・平地渓流(まれ) 記録済みの地域:山形・宮城(奄美大島でも似た個体を観察しているが近縁他種の可能性もあり) 幼虫の特徴:(下の表・画像を参照) 季節性・化性:春と秋に羽化とされているが東北では春羽化のみ(?)/1年1~2化

​​​終齢/♂(羽化直前)

2024.05.10 宮城県

終齢/♀(羽化直前)

2023.11.09 宮城県

――――――――【 エルモンヒラタカゲロウ 】――――――――

亜終齢/♀

2021.02.27 宮城県

終齢の2つ前/♀

2019.06.01 宮城県

―【 ヒラタカゲロウ属の一種(エルモン or マツムラ or タニ)】―

生息環境:山地渓流・平地渓流 記録済みの地域:岩手・宮城・山形・福島・新潟 幼虫の特徴:(下の表・画像を参照)タニヒラタより小型で『日本産水生昆虫:科・属・種への検索』(川合・谷田,2005)では「幼虫が13 mm以下」(タニは14 mm以上)とされるが、体サイズは性差や個体差が大きく、特に年1化目(春羽化)の♀の中には13 mmを超すものが混じる。羽化が近い♀は腹部が緑(卵の色)なので確実に同定でき、また秋にみられる大型の幼虫はタニの可能性を排除できる(タニは春羽化の年1化であるため)が、それ以外の場合にはタニ・マツムラとの見分けは困難。マツムラは長いことエルモンと同一視されており、同属他種に比べると種としての認知度もまだ低い。幼虫での見分けは羽化が近い♀を除き困難。 季節性・化性:晩春と秋に羽化(春型と秋型は体格差が著しい)/1年2化

​​​終齢/♂

2024.04.27 宮城県

終齢/♂(羽化直前)

2021.05.20 宮城県

​​​終齢/♀

2020.05.08 宮城県

終齢/♀

2023.02.27 宮城県

――――――――――――――――――――――――【 タニヒラタカゲロウ 】――――――――――――――――――――――――

生息環境:山地渓流・平地渓流 記録済みの地域:岩手・山形・宮城・福島・新潟・愛知 幼虫の特徴:(下の表・画像を参照)エルモン・マツムラより大型で『日本産水生昆虫:科・属・種への検索』(川合・谷田,2005)では「幼虫が14 mm以上」(エルモンは13 mm以下)とされるが、体サイズは性差や個体差が大きく、特に♂は14 mmに満たないものもいる。 季節性・化性:春の前半に羽化/1年1化

 

画像・表:本州でよくみられるヒラタカゲロウ属5種の識別

       ナミ              ウエノ              キイロ

      ユミモン        タニ・エルモン・マツムラ

タニ

エルモン

マツムラ

​それ以外

​​​※ステージ後半(終齢・亜終齢)の幼虫における目安。ステージ後半の幼虫を各種10個体ほど用いて計測し

 た。テール長÷体長のほうが測定しやすく一般的だが、体長は同一個体であっても脱皮からの日数や消化

 管内容物の量によって値の変動が大きく同定形質として不適。

観察メモ(ヒラタカゲロウ属
 ・最もメジャーなカゲロウのグループのひとつで、渓流釣りでは「岩チョロ」とも呼ばれる川虫の中でも代表的な属です。テールは2本で、テールの長さは種によって異
  なります。

 ・色彩・斑紋の多型はありませんが、ナミヒラタカゲロウはピンク色の色彩変異個体の出現頻度が高いです。
 ・腹部各節にはふさ状のえらと葉状のえらが両方あり、葉状のえらの先端は丸いです。ただしふさ状のえらは小さく、肉眼では観察困難です。
 ・酸欠にきわめて弱く、溶存酸素レベルの低い水中ではただちに弱っていき、やがて死んでしまいます。
 ・全種、流速が大きく溶存酸素レベルが高い瀬に生息しますが、その中でも好む流速が種によって異なっており、複数種が生息する河川では川の中でモザイク状に棲み分
  けをしています。今西錦司・可児藤吉らが提唱した「すみわけ理論」はこのヒラタカゲロウ属の習性を題材にして構築されました。​
 ・カゲロウの中では研究が進んでいるグループですが、​ナミとウエノ、タニとエルモンとマツムラのように、幼虫時点での確実な同定が場合によっては困難なものもいま
​  す。

 


【ヒメヒラタカゲロウ属】

終齢/♂

2024.04.28 宮城県

終齢/♀

2024.04.05 宮城県

終齢の2つ前(?)/♂

2023.05.25 宮城県

――――――――――――――――――――【 サツキヒメヒラタカゲロウ(おそらく)】――――――――――――――――――――

終齢/♀

2023.05.25 宮城県

観察した環境:平地渓流 記録済みの地域:宮城・新潟 幼虫の特徴:白と褐色の特徴的なパンダ模様。♀は終齢になるとパンダ模様が薄れ、3枚目のようなオレンジっぽい色彩になる。よく似た未記載がいるようで、念のため種名は「おそらく」としておく。 季節性・化性:宮城では春~初夏に終齢幼虫がみられる/1年1化?

​終齢の2つ前(?)/雌雄不明

2021.03.20 宮城県

​終齢の2つ前(?)/雌雄不明

2021.03.20 宮城県

​腹部のえら(サツキヒメヒラタカゲロウ)

わかりにくいため白で輪郭を示しています。

―――――――【 ヒメヒラタカゲロウ属の一種 】―――――――

(詳細不明)


観察メモ(ヒメヒラタカゲロウ属
 ・テールは3本ですがきわめて損傷しやすく、きれいな状態で観察する難易度は高めです。
 ・腹部各節には葉状のえらのみがあり、先頭(第2節)のえらは特に大きく、腹面で左右のえらの前端が接するのが大きな特徴です(右)。ただしえらは透明で、輪郭は
  観察しにくいです。
 ・最前列のえら(第2節のえら)が特殊な形状をしていることによってえらを含む腹部全体の吸盤機能が非常に優れており、礫や落ち葉の表面を滑るように移動すること
  ができます。オビカゲロウ属やヒラタカゲロウ属なども腹部の吸盤機能を駆使して生活していますが、水流がないと十分な吸盤機能を発揮できない彼らとは異なり、本
  属の諸種は流れのほとんど感じられない止水的な環境下でも足場に安定して張り付くことができます。
 ・早瀬に棲む種と岸ぎわの浅場に棲む種がいるようで、早瀬の種は酸欠に弱く、溶存酸素レベルの低い水中ではすぐに弱ってしまいます。岸の浅場に棲む種は早瀬の種に
  比べると酸欠への耐性が高いようです。
 ・2023年現在、国内で幼虫の姿が種レベルで認知されているのはヒメヒラタとサツキヒメヒラタの2種のみで、幼虫が未知の既知種や未記載種もいるため種レベルでの断
  定はここでは避けています。

 

観察メモ(科内全属共通
 ・幼虫の外部形態の雌雄差は顕著ではありませんが、ステージ後期の幼虫では♀が♂よりも大柄です。また、ステージ後半の♂幼虫の複眼は♀幼虫の複眼の1.5倍ほどの大
  きさで、羽化が近づくと膨んで目立ちます。
 ・自然下では生涯のほとんどを落葉や礫の裏側などに隠れて過ごすため積極的に泳ぐことはありません。足場のない自由水中に放り込むと6本の脚でリズミカルに水をか
  くようにして泳ごうとしますが、遊泳能力は高くありません。
​ ・幼虫は夜行性があるものが多く、暗い時間には昼に礫裏に隠れていた個体も川底の表面に出てきて活発に採餌をします

​ ・エタノールやホルマリンで固定すると腹部の節間が膨潤したり姿勢が丸まったりして生時とは異なる体型になってしまうことが非常に多いです。また、ただでさえもろ
  い触覚・脚・テール・腹部のえらはきわめてとれやすくなり、色も褪せるため同定が難しくなります。観察は生時または固定直後に行うことを強くおすすめします。

 


​成虫【準備中…】

bottom of page