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【モンカゲロウ科 Ephemeridae​】

​中型~大型のカゲロウで、細長い体型です。モンカゲロウの♀の幼虫は大きなものだと25 mm(触角・テールを除く)を超すこともあり、オオフタオカゲロウやガガンボカゲロウと並び国内最大級のカゲロウです。川や湖の底質を掘って穴の中で生活するため、脚のつくりや体型は穴掘りに適した形状になっています。体全体に細い毛が密生しており、光の届かない河床で感覚器官として役立っていると思われます。

  ①ツノ状に発達した大顎が頭部前方に突出する

  ②先端が羽毛状に細かく分岐したえらが腹部上面にある

  ③腹部のえらは基部付近で2本に分岐しない

以上の3点で他科から区別されます(③はシロイロカゲロウとの識別時のみ要観察)。腹部のえらは筋肉を使って活発に動かすことができ、溶存酸素の少ない水中でも長期間生存できます。

腹部の模様が種ごとに異なっているため、肉眼でも種レベルまで同定可能です。


下位分類(国産既知種のリスト)


  モンカゲロウ属 Ephemera
    ・モンカゲロウ Ephemera strigata Eaton, 1892

    ・フタスジモンカゲロウ Ephemera japonica McLachlan, 1875

    ・トウヨウモンカゲロウ Ephemera orientalis McLachlan, 1875
    ・タイワンモンカゲロウ Ephemera formosana Linnaeus, 1758
  (
日本産水生昆虫 第二版(川合・谷田 編,2018)に基づく)

​以上、1属4種が知られています。

 


幼虫フォトギャラリー

モンカゲロウ Ephemera strigata

終齢/♂

2022.04.23 宮城県

モンカゲロウ Ephemera strigata

終齢/♀

2022.05.04 山形県

モンカゲロウ Ephemera strigata

終齢/♀

2019.12.09 宮城県

―――――――――――――――――【 モンカゲロウ 】―――――――――――――――――

生息環境:山地渓流・平地渓流・平地流・細流・素掘りの水路など 記録済みの地域:秋田・宮城・山形・新潟・茨城・東京・神奈川・愛知 幼虫の特徴:腹部には一対の太い褐色条がある。 季節性・化性:晩春~初夏に比較的集中的に羽化/1年1化

フタスジモンカゲロウ Ephemera japonica

​​終齢/♀(羽化直前)

2024.05.10 宮城県

【 フタスジモンカゲロウ 】

生息環境:源流・山地渓流 記録済みの地域:青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島・新潟・東京 幼虫の特徴:腹部各節には細い黒褐色条が3本ずつ並ぶ。 季節性・化性:夏をピークに羽化/羽化期は春~秋まで長い/1年1化

フタスジモンカゲロウ Ephemera japonica
フタスジモンカゲロウ Ephemera japonica
トウヨウモンカゲロウ Ephemera orientalis
トウヨウモンカゲロウ Ephemera orientalis

​​終齢/♀

2022.12.23 山形県

亜終​​齢/♀

2019.12.21 宮城県

終齢/♂

2019.07.01 宮城県

亜終齢/♀

2023.4.13 宮城県

――――――――【 フタスジモンカゲロウ 】――――――――

――――――――【 トウヨウモンカゲロウ 】――――――――

生息環境:平地渓流(まれ)・平地流・池沼など止水域 記録済みの地域:宮城・福島・新潟 幼虫の特徴:腹部には細い線の独特な斑紋が並ぶ。タイワンモンカゲロウに似るが分布は重複しない。 季節性・化性:夏をピークに、羽化期は春~秋まで長い/1年1化(分布域南方では1年2化する可能性あり)

 

観察メモ
 ・体長の個体差が大きく、小柄な♂と大型な♀とでは最大10 mmほどの体長差(触角・テールを除く)があります。体格差を除き幼虫の外部形態に雌雄差はほぼありませ

  んが、ステージ後半の♂幼虫の複眼は♀幼虫の複眼の2倍ほどに発達します。
 ・自然下では常に河床に潜っているため積極的に泳ぐことはありませんが、刺激を加えると体全体を上下にくねらせて直線的に泳ぎます。
 ・カゲロウとしては珍しく幼虫は乾燥耐性を持っており、えらが少々湿っている状態であれば少なくとも2週間ほど生存できるようです。以前、夏に少雨で渇水が起こっ

  た際に、近所の河原(普段は川底)の石の下から干からびかけた幼虫(生きている)を掘り出したことがあります。
​ ・エタノールやホルマリンで固定するとやや丸まった姿勢で硬化してしまいます。色の変化(退色)は顕著ではありません。

モンカゲロウ Ephemera strigata

​ツノ状に発達した大顎(モンカゲロウ)

 

​日本​本土に広く生息するモンカゲロウ属3種の腹部の模様の違い


​成虫フォトギャラリー

 ※光走性:△~○ 種や雌雄によって光走性に明確な差があります。トウヨウモンカゲロウ類(国内ではトウヨウモンカゲロウとタイワンモンカゲロウ)は♀成虫に顕著な光
  走性があり川沿い(川から2~3 km以内)のコンビニなどによく飛来しますが、♂や他の種は光走性がやや弱く、川の真横で強い光を焚いてようやく飛んでくる程度です。

 

亜成虫 /♂

2020年5月(採集日不詳) 宮城県

亜成虫 /♀

2020.05.19 宮城県(飼育個体)

成虫 /♂

2024.05.06 宮城県(飼育個体)

成虫 /♂

2024.05.20 福島県

成虫 /♀

2022.04.06 宮城県(飼育個体)

成虫(色彩異常個体)/♀

2024.06.12 山形県

―――――――――――――――――――――――【 モンカゲロウ 】―――――――――――――――――――――――――

♂​成虫の前翅は前縁部と中ごろに褐色の帯があり、後翅は褐色に縁取られます。♀の翅は♂より色が淡いですが、前翅の褐色帯は明瞭です。

成虫 /♂

2022年 採集日・場所不明(飼育個体)

成虫 /♀

2023.06.04 宮城県

―――――――――――――――――――――【 フタスジモンカゲロウ 】―――――――――――――――――――――――

​翅に明瞭な斑紋はありません。源流域や細流の周辺でみかけることがありますが、人里近くには少ないため成虫は目につきにくいです。

画像の♂は季節外れの9月に部屋を飛んでいたもので、おそらく部屋の水槽から羽化したと思われる個体です。

ヤゴのエサとして放り込んでいた幼虫が生き残り、そのまま羽化したようです。

成虫 /♀

2022.09.11 宮城県

―――――――――――――【 トウヨウモンカゲロウ 】―――――――――――――

​翅はほぼ無斑ですが、前翅中ごろ小さな褐色斑が出る個体が多いです。♀は川沿いを数km以上

遡上飛行​するようで明かりにもよく飛来しますが、♂は滅多に見ません(未撮影)。

亜成虫 /♂

2023.05.15 沖縄県 西表島

【 タイワンモンカゲロウ 】

​夜の林道を歩いていたら、小川の脇で見つけた個体

​モンカゲロウ      フタスジモンカゲロウ    トウヨウモンカゲロウ

​日本​本土に広く生息するモンカゲロウ属3種(成虫)の腹部の模様の違い

​成虫の腹部の斑紋パターンは幼虫と同じで、種同定に有効です。

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