top of page


【節足動物(昆虫以外)Anthropoda (except for Insect) 】

 

 エビやカニなどの甲殻類に代表されるように、昆虫以外の節足動物も水辺にはたくさん棲んでいます。常に川の中で生活しているものに限定するとその種類はやや限られますが(エビ、ヨコエビ、サワガニなど)、止水域の生物や水ぎわの生活者、ミジンコ等のプランクトンも含めると実に多様な節足動物が水辺を利用しています。

 管理人は甲殻類や多足類には疎いため非常にざっくりとした紹介にはなってしまいますが、以下にこれまで出会ってきた水辺の節足動物(昆虫以外で、顕微鏡を使わなくてもある程度観察できるサイズのもの)を挙げていきます。


フォトギャラリー

 

【クモ目】

​2024.07.21 北海道

【 ミズグモ 】

分類:節足動物門/鋏脚亜門/クモ綱/クモ目/ミズグモ科 生息環境:水質のよい、植生豊かな湖沼。国内の残存産地数はごく少ない。

​2023.03.20 宮城県

【 アオグロハシリグモ 】

分類:節足動物門/鋏脚亜門/クモ綱/クモ目/キシダグモ科 生息環境:源流や山地渓流域の岸辺など

 

メモ(クモ目)
 ・​​クモは陸上生物のイメージですが、湿生植物に依存する種などを含めると水辺を利用するものが意外と多くいます。ただしミズグモは完全な水中生活を送ることで知られ、

  2026年現在知られているなかで世界唯一の完全水生種とされます。

 ・ハシリグモの仲間は渓流の水ぎわで狩りをする習性をもつものもいて、石をめくると出てきて驚くことが多々あります。上画像のアオグロハシリグモは足先を水面につけて

  獲物を待ち構えているところ。川虫が羽化したり小昆虫が落下したりする際の水面の微細な振動を感知してとびかかるようです。まれな事例かとは思いますが、大型のハシリ

  グモが小魚を捕食したこともあるようです。

 

【多足類】

​水中で元気に活動するオビヤスデ属の一種

メモ(多足類)
 ・​​完全な水生の多足類はほとんどいませんが水中を生活圏の一部に

  するものはおり、国内だと渓流で積極的に水中ハンティングを行

  う沖縄のリュウジンオオムカデが有名(?)です。

 ・ヤスデは水生種はいないようですが、水中で長期間(長いものだ

  と数日以上!)活動できる種は複数知られているようです。外敵

  に襲われた際の緊急避難先の選択肢として水中を使うのか、水中

  に落下した時に陸上へ生還する確率を上げるために水への耐性を

  獲得しているのか不明ですが、管理人は過去に2度、明らかに水

  中にいたと思われるヤスデをガサガサでつかまえています。

​2026.03.21 宮城県

【 オビヤスデ属の一種 】

分類:節足動物門/大顎亜門/ヤスデ綱/オビヤスデ目/オビヤスデ科 観察した環境:水路、小河川の礫裏、水中の落ち場の下

 

【甲殻類/ミジンコ亜綱】​

​腹面/側面

​2024.06.11 山形県

――――【 ホウネンエビ 】―――――――

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/ミジンコ亜綱(鰓脚類)/ホウネンエビ目/ホウネンエビ科 生息環境:水田

​背面/腹面

​2024.06.11 山形県

――――――【 ヨーロッパカブトエビ(外来種)】――――――

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/ミジンコ亜綱(鰓脚類)/カブトエビ目/カブトエビ科 生息環境:水田

​側面/背面

​2024.06.11 山形県

―――――――――――――【 タマカイエビ科の一種 】―――――――――――――

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/ミジンコ亜綱(鰓脚類)/カイエビ目/タマカイエビ科 観察した環境:水田

​側面

​2024.06.24 宮城県

【 カイエビ科の一種 】

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/ミジンコ亜綱(鰓脚類)/カイエビ目/カイエビ科 観察した環境:水田

​ホウネンエビの卵(保育嚢)

​水田の水面を背泳ぎするヨーロッパカブトエビ

 

メモ(ミジンコ亜綱)
 ・ミジンコ亜綱はホウネンエビ下綱・カブトエビ下綱・ミジンコ下綱の3グループからなる甲殻類のグループです。ミジンコというと水田や池などでみられる宇宙人のような眼

  とクチバシをもつあの微生物(あれはミジンコ下綱-ミジンコ目-Daphniidaeの一種)が思い浮かぶ人が多いと思いますが、肉眼サイズのホウネンエビやカブトエビもこのグル

  ープに含まれます。

 ・これらのグループはいずれの種も一時的かつ浅い水域を好み、河川の氾濫湿地(現代ではなかなか見ません)や水田を生息場としています。卵は非常に高い乾燥耐性を持って

  おり、水に入れるとすぐに発生を開始することから、ホウネンエビやカブトエビの卵は生物飼育のチュートリアル的な存在として小学生の自由研究セットなどで知られていま

  す。管理人が小学生の頃は「トリオップス(ラテン語で「3つ目」の意)」としてカブトエビの卵がしばしば通販で売られていました。

 ・昔は全国各地の水田でよくみられる身近な生物だったようですが、近年は農薬の使用と乾田化によってこれらの生物が発生する水田は激減しています。北日本の水田で目にす

  る頻度は カイエビ>>>(越えられない壁)>>>ホウネンエビ>カブトエビ で、ホウネンエビとカブトエビは激レア生物ですが、西日本はホウネンエビは割といるようで

  す。カイエビは地味かつ、しっかり観察しないとなんの生き物かすらよく分からない体のつくりをしているので、数は多いにもかかわらずホウネンエビとカブトエビに知名度

  が大きく劣っています。

 ・ホウネンエビはアノマロカリス、カブトエビは三葉虫やケファラスピス(魚の祖先)を彷彿とさせる姿(※あくまでも似ているだけで近縁ではない)で、これほどまでに古代

  生物の風格を味わうことができる身近な生き物はなかなかいないと思っています。変な生き物が好きな方はぜひ、飼育してみてはいかがでしょうか。ちなみにカブトエビは生

  態系への大きな影響こそないとされるものの、大正時代以降に日本に入ってきた外来種とされています。遠い地域から捕獲してきたものや商品として購入・飼育したものは、

​  絶対に外へ逃がしたり捨てたりすることはないようにしましょう。

  

 

【甲殻類/等脚目】

​2024.02.17 山形県

【 イソコツブムシ属の一種 】

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/等脚目/有扇亜目/コツブムシ科 生息環境:海・河口部・河口から数~十数km程度までの河川(淡水)

​2024.12.01 宮城県

​2026.03.29 山形県

――――――――【 ニホンヒメフナムシ 】―――――

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/等脚目/ワラジムシ亜目/フナムシ科 生息環境:林床の湿った土壌、河川の岸ぎわ(まれに岸ぎわの水中)

​2020.01.19 宮城県

【 ミズムシ 】

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/等脚目/ミズムシ亜目/ミズムシ科 生息環境:多様な淡水域(特に多少汚濁のある日陰環境)

​イソコツブムシ属の一種(側面)

丸まる​イソコツブムシ属の一種

ミズムシ(側面)

 

メモ(等脚目)
 ・ミズムシのみが全国各地で普通に観察されます。イソコツブムシは日本海側に河口をもつ河川の中~下流地域に生息します。ヒメフナムシは各地にいますが、完全な水生では

  ないためガサガサで網にかかる機会はまれです。なおミズムシは昆虫(半翅目)のミズムシと区別するために「ミズムシ(甲)」と表記されることも多いです。

 ・コツブムシはダンゴムシのように丸まることができるためダンゴムシの親戚にように思えますが、系統的にはダンゴムシはワラジムシ亜目に属しておりコツブムシよりもフナ

  ムシ科と近縁です。コツブムシは有扇亜目の中では唯一の淡水まで進出しているグループで、同亜目にはグソクムシやウオノエなどが含まれます。

 ・ヒメフナムシとミズムシは一見ワラジムシに似ているので、生物屋以外の人は大多数が混同していると思います。ミズムシは各地で普通にみられるため本HPの利用者は見たこ

  とがある人が多いかと思いますが、ミズムシがワラジムシ亜目ではなくミズムシ亜目に所属していることを知っている人は少ないのではないでしょうか。※管理人は本ページ

​  執筆にあたって情報収集している時に知って驚きました。

 

【甲殻類/端脚目】​

​2024.11.28 宮城県

​2023.11.25 山形県

​2020.03.31 宮城県

――――――――――――――――【 キタヨコエビ科たち(おそらくすべて別種)】――――――――――――――――――

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/端脚目/ヨコエビ亜目/キタヨコエビ科 生息環境:河川や河川に接続する止水域、湧水など(特に冷水を好む)

​2018.11.24 新潟県

ヨコエビ陸生種(科不明)

2018.10.13 新潟県​

 

メモ(等脚目)
 ・端脚目の甲殻類にはワレカラやウミノミなどが含まれますが、ヨコエビだけが淡水にも適応しています。また完全な水中だけではなく、飛沫帯や湿ったコケの中などをすみか

  とする種もいます。

 ・ヨコエビは海外種や海産種を含めると形態・色彩がきわめて多様であり管理人的には興味のある生き物なのですが、ヨコエビ沼は非常に深く、本命の川虫と並行して専門的に

  掘り下げるには寿命がとても足りないと判断したため手を出さないでいます。

​ ・フロリダマミズヨコエビは2000年代に全国各地で一斉に見つかりだした北米原産の外来種です。ザリガニレベルの生態系への深刻な影響は報告されていませんが、知らない間

  に全国の河川にすっかり住み着いていたという点では不気味な存在です。国内のヨコエビ類は冷水性の種が多いなかでフロリダマミズヨコエビは比較的高い温度にも耐えるよ

  うで、河川中~下流域や人里近い水路などで大量にとれる白いヨコエビは本種である可能性が高いです。※種同定には細部を観察する必要があるので、詳細は専門書や論文等

  を参照ください。

【 フロリダマミズヨコエビ(外来種)

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/端脚目/ヨコエビ亜目/マミズヨコエビ科 生息環境:河川や水路など

【甲殻類/エビ目/抱卵亜目/コエビ下目】​

​2023.04.23 宮城県

【 ヌマエビ 】

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/エビ目/コエビ下目/ヌマエビ科 生息環境:河川・湖沼

​2022.04.08 宮城県

【 ヌカエビ 】

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/エビ目/コエビ下目/ヌマエビ科 生息環境:河川・湖沼

​2026.04.04 新潟県

【 カワリヌマエビ属(外来種)

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/エビ目/コエビ下目/ヌマエビ科 生息環境:河川・湖沼

​2019.03.12 鹿児島県 奄美大島

【 ミナミテナガエビ 】

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/エビ目/コエビ下目/テナガエビ科 生息環境:河川

​2023.03.23 宮城県

​2023.03.23 宮城県(6頭がうつっています)

―――――――――――――――【 スジエビ 】――――――――――――――――

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/エビ目/コエビ下目/テナガエビ科 生息環境:河川・湖沼。幼生期を海で過ごすものとそうでないものがいる。前者は主に沿岸部に産し、後者よりも大型になる。

 

メモ(コエビ下目)
 ・いわゆる「川エビ」といわれる生物たちが該当します。ヌカエビ・ヌマエビ・スジエビ・カワリヌマエビ(外来種)・ヤマトヌマエビ(主に西日本)が、川虫観察をしている

  際に各地で特によく目にするものだと思います。身近な生物ですが、体斑に個体差がある(特にヌマエビ科)ため種同定には慣れが必要なようです。

 ・ヌマエビ類は付着藻類を食べる一次消費者ですが、テナガエビやスジエビは肉食の強い雑食性なので、野外でとれたエビをコケ取り係として迂闊に水槽に入れると悲劇が起こ

  ることがあります(管理人経験済)。肉食のエビは目が大きくて左右に大きく張り出しているので、とれたエビが肉食か否かは顔を見て判断するとよいです。

​ ・スジエビのうち、幼生期に海に降りるもの(B型などと言われます)は一生淡水で過ごすものよりも明らかに大型になり、場所によっては小河川に非常に高密度に生息する事

  例を確認しています。高密度で生息するスジエビは川虫を含めたエビ以外の小型水生生物を片っ端から捕食すると推測され、川虫屋の視点としては、スジエビだらけの川は何

  もいないため正直退屈です。

【甲殻類/エビ目/抱卵亜目/ザリガニ下目】​

​2020.07.02 宮城県

​2016.01.30 規制前に流通していた飼育個体

​2021.04.03 北海道

【 アメリカザリガニ(条件付

特定外来生物)

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/エビ目/ザリガニ下目/アメリカザリガニ科 生息環境:湖沼や水田、ゆるい流れなど。環境を自分たちの繁殖に有利な状態に変えてしまうネガティブな生態系エンジニアの一種。

【 ミステリークレイフィッシュ

(特定外来生物)

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/エビ目/ザリガニ下目/アメリカザリガニ科 生息環境:湖沼や水路など

【 ウチダザリガニ(特定外来生物)

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/エビ目/ザリガニ下目/ザリガニ科 生息環境:水温の低い湖沼や大きめの河川

 

メモ(ザリガニ下目)
 ・日本の淡水域にもとから生息しているのは二ホンザリガニ(北海道と青森/未観察)のみで、ほかの種は全て環境省の特定外来生物に指定されています。特に二ホンザリガニ

  は何でも食べる旺盛な食欲と水を濁らせる性質、圧倒的な繁殖力・生命力によって各地に蔓延し、日本の水辺の生態系をめちゃくちゃにしています。生き物たちには罪はあり

  ませんが、日本の生態系にはいてはいけない生物です。

​ ・特定外来特定は原則として、生きたままの運搬や飼育・販売・譲渡が禁止されています。いくら身近な生物でも、興味本位で家で飼ったり飼ったものを野外に放したりするの

  は絶対にしないようにしましょう。※法的な罰則があります

​2023.08.26 宮城県

アメリカザリガニが侵入し、それまで生息していたほとんどの

トンボや水生甲虫が姿を消した、汚れてしまった池

​2022.09.25 宮城県

水面下に見えている赤っぽいもの全てアメリカザリガニ

​生き物屋的には目をそむけたくなる光景

【甲殻類/エビ目/抱卵亜目/カニ下目】​

​2025.09.06 宮城県

【 モクズガニ 

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/エビ目/カニ下目/イワガニ科 生息環境:河川(夏~秋)・ 海洋。海で繁殖し成体が河川を利用する典型的な両側回遊型の生物。河川では沿岸部に多いが、ときに河口から30 km以上内陸に遡上する個体もいる。

​2022.07.14 宮城県

【 アシハラガニ 

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/エビ目/カニ下目/イワガニ科 生息環境:沿岸部の干潟・アシ原(汽水域を中心に海水~淡水域)

 

メモ(カニ下目)
 ・ザリガニ類と異なり、もともと日本にいる在来種で主に構成されるグループです。ほとんどの種は海産ですが、サワガニとモクズガニは国内の内陸河川域でもみることができ

  ます。とりわけサワガニは日本各地に地域個体群がおり、色彩変異があって観察対象として面白い生物です。

​ ・雑食性で、川虫を捕食することもあると思われますが、アメリカザリガニやスジエビの降海型のように河川の川虫相に甚大な影響を与えることはありません。

​2026.02.22 山形県

【 サワガニ 

分類:節足動物門/大顎亜門/甲殻綱/エビ亜綱(軟甲類)/エビ目/カニ下目/サワガニ科 生息環境:源流・山地渓流

An Artless Riverside 川虫館

©hisame An Artless Riverside Powered by Wix.com

bottom of page